宝達志水町地域経済循環分析に関する調査を実施しました
事業実施の背景
宝達志水町では、進行する人口減少社会の中で、地域の機能を維持していくためには、「地域経済循環」が重要だと考えています。
町内人口の減少によって、地域内での経済消費も減少することが懸念されており、観光振興施策として、令和2年度からは宝達志水町観光DMO(仮称)の設立にも取り組んでいます。
こうした事業を進めるにあたり、宝達志水町の「地域経済の地域経済の状況」を数値で把握することが重要との考えから、『宝達志水町地域経済循環分析に関する調査」を実施しました。
宝達志水町産業連関表の作成と分析
観光振興という観点から、次の3点に注力し、そのために必要不可欠な宝達志水町版産業連関表の作成・分析に取り組みました。
1.経済波及効果について
2.産業分野全体における「観光」の位置づけ
3.地域経済循環における「観光」の役割
産業連関表とは何か?
産業連関表は、ある地域における経済活動の状況を、さまざまな統計データを使って一覧表にしたものです。
産業(企業)、政府、家計などの経済主体がおこなった、財貨(モノ)・サービスに関する取引を表(行列形式)にまとめています。
一般的に産業連関表は、国が5年毎に作成し、それを基に各都道府県が県レベルの産業連関表として作成しています。しかし、市町村レベルで産業連関表を作成する事例は少なく、多くの市町村では産業連関表を作成していないようです。
産業連関表を作成するメリットとは。
宝達志水町独自の産業連関表を作成すると次のことがわかるようになります。
- 町全体及び産業別の生産額
- 地域に入るお金と、地域から漏れているお金
- 地域経済の収支バランス
- 経済波及効果
- 税収効果
これらのことがわかることの一番のメリットは、「イメージ」ではなく、「数値」で議論ができるようになることだと考えています。
産業連関表の分析結果
宝達志水町産業連関表は、各種統計データをもとに作成されました。
分析結果の詳細については、下記の報告書をご覧ください。
宝達志水町地域経済循環分析調査報告_概要版 (PDFファイル: 959.1KB)
宝達志水町版産業連関表の開発と分析に関する報告書 (PDFファイル: 1.2MB)
地域経済循環分析の観光振興への活用について
宝達志水町では、域外からの貨幣の流入を増やす(以下、外貨獲得という)とともに、地域調達率を向上させることで、地域の維持につなげていきたいと考えており、その方法として着目したのが「観光振興」です。観光振興に関するデータとして、産業連関表から次のことがわかりました。
当町においては、各産業の生産額は、1次産業が全体の1.7%、2次産業が66.4%、3次産業は31.9%となっており、2次産業の割合が多い状況となっています。
地域経済循環で見てみると、2次産業は生産額が大きく、外貨獲得額も大きいですが、地域外調達も高く、地域の事業者に貨幣が流れにくい状況にあることが把握できました。
また、3次産業では、外貨獲得は50%以下の部門が多いですが、地域外調達については、全体として均等に分布していることから、貨幣が地域内の事業者に比較的流れやすいことが見て取れ、地域の所得向上という点においては、3次産業を伸ばす意義はあると考えられます。
このように生産額だけでなく、地域経済循環という視点でみると、これまでにはない事実が明らかになり、数字をもとにして、新たな議論ができるようになります。
観光分野においても、生産額だけで評価するのではなく、外貨獲得と地域調達率のバランスを見ていくことが重要であることがわかり、今後の観光DMOの進め方についても大きな示唆を得ることができました。
今後の展望について
令和2年度に産業連関表を作成しましたが、地域経済循環の推進を図るにあたり、次の点を課題として認識しています。
・統計情報ベースでの産業連関表となっているため、地域調達に関するデータが正確でない。
・家計における貨幣の流れが把握できていない。
・地域経済循環という概念が、地域全体に認知されていない。
こうした課題認識に対し、今後の展望として次の事業を予定しています。
・町内事業者へのアンケート調査及びヒアリング調査を実施し、産業連関表の精度を高める。(地域内調達等のデータを取得する)
・町民の買い物調査(消費行動調査)の実施
・地域経済循環セミナー等を実施し、地域全体での意識の醸成を図る。
※この事業は、一般財団法人地域活性化センターの「地方創生に向けて”がんばる地域”応援事業」の助成金を受けて実施されました。
この記事に関するお問い合わせ先
商工観光課
〒929-1492
石川県羽咋郡宝達志水町子浦そ18番地1
宝達志水町役場 2階
電話番号:0767-29-8250
ファックス番号:0767-29-4623
更新日:2021年02月19日